Commissioned Report

「平成30年度アジアの低炭素社会実現のための都市間連携プラットフォームの形成・運営・管理委託業務」業務報告書

2019-03

パリ協定に掲げる今世紀後半に脱炭素社会(温室効果ガス排出量が正味ゼロの状態)を実現させるためには、経済成長が著しいアジアにおいて、持続可能な低炭素社会の構築に向けた動きを加速させることが必要である。近年、経済成長著しいアジアの都市では、急激な都市化により、資源やエネルギー消費量が増大し、交通量増加に伴う交通渋滞が頻発しており、生活や経済活動に伴う廃棄物、排水、排ガス、温室効果ガス(GHG)等の排出量が増加するなど、住民の生活環境の悪化を招いている。これらの都市の経済成長を維持しながら快適な生活環境を守っていくには、効率的な資源循環や省エネ施策を推進し、環境負荷を最小限に留める持続可能な都市形成にシフトしていかなければならない。
我が国は、開発途上国においてこのような取組を支援すべく、GHG排出量削減を促進する二国間クレジット制度(JCM: Joint Crediting Mechanism)を推進しており、既に17か国(平成31年3月末現在)とJCMを実施している。また、環境省は、平成25 年度から、日本と海外の自治体の都市間連携を推進して低炭素社会の実現を目指す取組を実施しており、低炭素プロジェクトの案件形成調査や事業化支援、政策支援等を実施しているところである。これらを拡大し、効率的かつ効果的に横展開していくためには、政府や自治体、民間企業、研究機関等の関係者間で経験・優良事例や課題を共有し、各関係主体間の連携を深めると共に、対外的にその情報を発信していくことが重要である。
そのため環境省は平成25年度から、企業・自治体・研究プラットフォームの整備を通じ、アジアにおける低炭素社会実現のための調査および基盤構築を実施してきた。これまでに、国内民間企業および自治体への情報提供サイト「アジア低炭素発展に向けた企業連携・自治体連携プラットフォーム(http://lowcarbon-asia.org/portal.html)」を更新し、都市間連携ガイドブックを作成する等、対外的な情報発信を充実させてきた。さらに、JCMおよび都市間連携をテーマとしたワークショップやセミナーを開催し、関係主体間の連携を深め、その活動を広く周知してきた。この他、平成28年度からは「低炭素化社会の構築に向けた都市間連携強化事業委託業務」の下、そのような都市間連携事業に参画する可能性のある日本の新規自治体の発掘調査や、日本の自治体とアジア都市とのマッチングの機会創出、そして平成29年度には「低炭素社会に向けた途上国の都市運営のための制度活用・運用促進事業委託業務」の下、アジア途上国における低炭素プロジェクトの組成を円滑にするための入札制度等の制度設計、活用および運用に関する調査等を行ってきた。
今年度はこれまでの経緯を踏まえつつ、本業務の下、都市間連携事業のプラットフォームとしての取組、都市間連携事業の裾野を拡げるための取組、低炭素プロジェクト創出に資する取組を行った。具体的には、都市間連携事業のプラットフォームとして、都市間連携の更なる形成の基盤となる実態調査や事業パンフレットの作成、ガイドブックおよび『低炭素都市プロファイル』の増刷、国内民間企業および自治体への情報提供サイトの更新を行い、対外的な情報発信を継続して行った。また、今年度「低炭素社会実現のための都市間連携事業」(都市間連携事業)に採択された14案件の側面支援も行った。さらに、都市間連携事業に関するセミナーや、新たに都市間連携事業に参画する可能性のあるアジアの都市を対象に、低炭素都市計画の策定と実践に関する研修を実施すると共に日本の自治体とのマッチメイキングの機会もあわせて提供した。これに加えて、都市の官民連携(PPP)事業実施のために中央政府との連携による低炭素プロジェクト創出に向けた情報の収集、整理、事業計画書策定等の支援を行い、関連するワークショップを開催し、課題の共有や解決策についての協議等を行うことで関係者の意識向上を促した。