Briefing Note

日中再生可能エネルギーに関する政策環境の相違と今後の展望

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2018-10

 本稿は、北東アジアの中国、日本における再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)に関する政策環境の相違を議論し、今後の展望を概観する。要点は、以下の通りである。
• 最大限に再エネの普及による電力システムの転換は脱炭素社会の構築にとって基本的柱の一つである。過去10年間、日中両国は莫大な投資を行い、再エネの領域で世界的リーダーになってきた。
• 風力と太陽光発電が、中国の電力システムの脱炭素化に不可欠な役割を担っている。日本での再エネの導入は、温室効果ガス(GHG: Greenhouse gas)削減、エネルギー自給率の向上、化石燃料調達費用の削減、産業の国際競争力の強化、雇用の創出、地域の活性化、非常時のエネルギー確保等、多方面のメリットが認識され、進められている。
• 再エネ応用規模の継続的な拡大に伴い、両国はともに電力システムへの統合、技術革新、政策支援等の面で、様々な課題に直面している。中国では、地域間の送電網接続が十分に整備されていないことや再エネへの補助資金不足の拡大等を挙げられる。日本の再エネの発電コストは、他の主要国と比べると高いともいえるし、太陽光発電と比べると風力発電の導入量が低調であり、再エネ買取金額を増え続けることで国民負担の増大につながっている。
• 地域によって差があるが、中国の家庭の再エネに対する支払い意欲は日本と比べて低いと言える。その一方、日本の企業は、気候変動政策に起因するエネルギーコストの増加に対して、中国企業より遥かに敏感である。中国での再エネ開発による経済的負担は家庭及び企業の受け入れる範囲内である。日本の再エネ賦課金水準は家庭部門にとってまだ受容できるが、産業界にとってはかなりの負担感を思われる。
• 大型のメガソーラーや風力発電分野において、中国の技術力は徐々に高くなって来たが、蓄電池の活用、再エネの出力抑制、逆潮流対策において、日本の技術は先端である。日本では再エネと省エネ機器やコージェネレーション設備の組み合わせで、付加価値の高いシステム的な技術が中長期的に見ても、高い競争力を期待でき、両国間で技術協力の可能性は大きい。