Non Peer-reviewed Article
Language:
Japanese

解説:ポスト京都議定書

In What's New From IGES? (IGES Newsletter) Feb. 2005
Author: 
2005-02

気候変動枠組条約の第10回締約国会議(COP-10)が、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された。国際社会はこれまで気候変動問題に対処していくための国際制度として、問題の所在を確認した枠組条約と、先進国に対し温室効果ガスの排出削減義務とそのルールを規定した京都議定書というセットを作り上げてきた。1997年に調印された議定書は、米国の離脱などにより一時はその発効が危ぶまれたが、ロシアの批准によりその発効要件が満たされ、2005年2 月にようやく発効されることとなった。しかし、問題は山積している。そのひとつがポスト京都議定書の問題である。
京都議定書は、先進国の温室効果ガス排出削減について、2008年から2012年までの第一約束期間における削減義務を規定している。2013年以降の削減義務については、2005年に話し合いを始めることが決まっているだけで、どのような内容となるかは未定である。次期削減義務の設定の仕方によっては、第一期目の削減義務がうやむやになってしまう可能性もある。このため、これまでの国際交渉を牽引してきた欧州は、ポスト京都についてのセミナーをシリーズ開催しようとCOP-10で提案した。これに対し、削減義務の数値化を反対している米国は「時期尚早」としてこれに反対した。また、中国、インドなどの主要発展途上国は自らに削減義務が課せられることを恐れ、セミナーを開催するとしても、途上国への削減義務を議題としないよう事前に明確にするべきだと主張した。議論は平行線を辿ったまま最終日は徹夜となり、翌日になってようやく、2005年5月に議題を特定化しないでセミナーを一回開催することとなった。
次期約束期間についてのセミナーを開催する、しないでもめたCOP-10は、今後の国際交渉がいかに難しいかを示している。その一方で、議定書により削減義務を負っている国の温室効果ガス排出量の
全世界排出量に対する割合は、2010年には32%、20年には29%に減少していくといわれ、単純な議定書延長では、その実効性に限界がある。否が応でも、米国や途上国をいかに取り込んでいくかという非常に難しい問題に取り組まなければならない。COP-10の成果については低い評価を与える意見も多いが、交渉の難しさを考えると、各国が話し合いのテーブルにつく機会を決定したことは、重要な一歩としてみるべきであろう。

(ニュースレター「What's New from IGES?」2005年2月号より)

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