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Japanese

CO2排出量増減要因分析に基づく2030年CO2削減目標の評価手法の検討

In 環境経済・政策学会2017年大会 2017/09/09, 2017/09/10 2017-09

パリ協定では、2020年は現在の2030年の削減目標の妥当性を検討し、削減目標の野心度引き上げの必要性を判断することが批准国に対して求められている。本研究は、日本の2030年におけるCO2排出削減目標の達成に向けて想定される主要エネルギー経済要素の変化分の妥当性を評価することを目的に、CO2排出量の要因分解分析を行った。要因分解分析の対象として、1994年から2015年までの産業、業務、運輸部門のCO2排出量実績値及びこれらの部門の2030年の要素について国別目標(NDC)シナリオ、短期トレンドシナリオ(2005年から2015年のトレンドを2030年まで線形回帰)、中期トレンドシナリオ(2012年から2015年のトレンドを2030年まで線形回帰)、リファレンスシナリオ(各エネルギー経済要素を既存研究による予測値をもとに設定)におけるCO2排出量とし、これらを比較した。GDP当たりの最終エネルギー消費量(エネルギー強度)については、本研究で想定した全てのシナリオにおいて大きな差は無く、過去の実績で達成してきた範囲に留まっていることから、国別目標NDCが想定する省エネなどのエネルギー強度改善は頑健性が高く、その他の条件が多少変動しても達成可能な程度であることが明らかとなった。一人当たりGDPは、CO2排出量にもっとも大きな影響を与える要素であるが、シナリオ間で、大きな差がみられた。特に、NDCシナリオにおける一人当たりGDP見通しが他のシナリオおよび過去の実績値と比較しても高く設定されている。仮に、NDCシナリオにおける一人当たりGDPが他のシナリオのレベルまで下方修正される場合、2030年時点での排出量は1.2億トン程度低下する。エネルギー単位当たりの排出量は、実績においても変動が大きいことに加えて、中期トレンドシナリオ及び短期トレンドシナリオの値とNDCシナリオ及びリファレンスシナリオの値が大きくかい離しており、不確実性が高い要素といえる。原子力発電所の稼働状況や再生可能エネルギーの導入量が大きく影響するため、最新の動向を鑑みて継続的な分析が必要である。
今後はパリ協定のものとで2020年に行われる2030年目標の妥当性評価に向けて、最新の状況を反映しつつ、2℃目標達成に向けて効果的な内容になるような国別目標の継続的な改善が行われることが望まれる。